船穂産マスカット100%のふなおワイン
倉敷市の船穂のマスカット・オブ・アレキサンドリアは品質数量とも日本一、その船穂産マスカットを100%使ったワインが「ふなおワイナリー」で生産されています。ワインづくりの現場を訪ねました。
「ふなおワイナリー」は倉敷市船穂町のマスカット・ハウスが広がる丘陵地の、一番奥まったところにあります。
果樹畑や山の緑に囲まれ、自然環境はいうことなし、ワインづくりにも最適と見えます。
洒落た形のワイナリーは表が試飲室になっていて、工場は奥にあります。
9月初旬の訪れた日はちょうど仕込みの日にあたり、小野昌弘工場長ら4人が忙しくてきぱきと作業を進めていました。
収穫されたばかりのマスカットが冷暗室から出され、一箱ごと破砕機にかけられていきます。
破砕機はマスカットの果梗(かじく)を取り除き、マスカットを皮ごとつぶすもので、つぶされたマスカットが果汁とともに容器に溜まっていきます。
あたりにはマスカットの甘い香りがただよいます。小野工場長からいただいた大粒をひとつ皮ごと口に入れると、ぱりっという歯ごたえ、あふれるジュース、品のいい甘さと香り。
「普通のワイナリーではワイン専用のぶどうを使いますが、船穂では食用に育てたぜいたくなぶどうを使います。これが船穂のワインなんです。」と小野工場長。
破砕機でつぶされたマスカットは圧縮機に送られ、圧力をかけて搾られ、2種類のジュースに分けられます。できたての100%マスカットのジュースは、醗酵室のタンクに溜めておりを沈殿させたあと、別のタンクに移し変えて発酵させ、そして熟成に入ります。
熟成すること6ヶ月、9月に仕込んだマスカットワインは翌年の3月に出来上がります。
生産量は720mlボトルにして年間1万本(マスカットにして10トン)つくるのがやっとということです。
出来上がったワインはすべて白ワインで、甘口、中口、辛口、超甘口の4種。
いずれもマスカット本来の風味があって上品な酸味とフルーティな香り、すきっとした飲み口が特長です。ワイナリーには出来上がったワインを販売するため、しゃれた試飲室が用意されていて、ワイン談義をしながらゆっくりと味わうことができます。
この<ふなおマスカットワイン>、原料となるマスカットが生食用に出荷するものと変わりなく丹精こめてつくられたもの、それを100%使っているところに希少性と独自性があります。
ほかでは真似の出来ないこのワインは、平成18年度には倉敷ブランドに認定され、全国へとその名を広めつつあります。
もともと、船穂のイメージをいっそう高め、マスカット栽培をより発展させていこうとの願いをこめてつくられた<ふなおマスカットワイン>、船穂の願いを確実に実現してくれているようです。