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「All Welcome」な地域としての倉敷の魅力と可能性

楠本 勝三(くすもと かつみ)
株式会社Funfair「菜道」(さいどう)チーフシェフ
フランス料理から和食の世界へ転身。
2019年「世界で最も人気があるヴィーガンレストラン」を獲得。
2023年の米国のイベントでは2,000名のキャンセル待ちが出た。
倉敷市出身。

Q:シェフの考える倉敷・岡山の(食も含めた)魅力についてお聞かせください。

豊かな自然と美しい街並み。大原美術館やノスタルジックな白壁の街並み。町屋でのカフェタイムや食事は海外からのお客様には魅力的だと思います。私が通学路で通っていた30年前と比べて外国人旅行者も多く、可能性を強く感じました。鷲羽山からの景観も素晴らしいですし、児島デニムのクオリティの高さも観光動線の工夫でまだまだ広く認知される人気のコンテンツとしてのポテンシャルがあると思います。
日本一の桃やマスカットなどの果物、瀬戸内海の海産物、米、黄ニラ、千両ナス、桃太郎トマトなどなど。「晴れの国」の恵まれた自然環境と生産者の技術の中で育つ食材の魅力は国境を超えます。ひとつ例を挙げると、菜道では夏の間、シンプルなコーンスープをお出ししています。欧米豪の方にとっては馴染みのある料理ですが、日本のとうもろこしの甘さに全てのお客様が驚きます。ロサンゼルスの高級スーパーでは日本産のサツマイモが高級食品として売られていました。我々にとっての当たり前も実は特別な美味しさであることが多いです。外からの目線で改めて倉敷・岡山の魅力を探してみる作業で新たな発見もありますし、外国人旅行者に直接ヒヤリングしてみる機会を増やすことで確かなニーズを得ることも重要です。
私の考える倉敷の魅力。出身地としての贔屓目抜きにして食べものが美味しいこと。風光明媚な自然景観。

Q:多様な食文化への対応としての「ヴィーガン」の重要性についてお聞かせください。

世界には様々な食の禁忌が存在します。その多くは牛、豚などの動物性の食材がほとんどです。動物性、魚介類、乳、卵を使わないヴィーガンのスペックだと日本人のアレルギーの約7割もケアできます。
美観地区でたくさんの台湾からの観光客を見かけました。台湾人の約15%がベジタリアンです。街で見かける欧米豪の観光客の中にも実はたくさんのベジタリアンやヴィーガンがいます。
ガストロノミーは観光誘致において重要なコンテンツになります。
都心からは少し離れた自由が丘にある菜道には、毎日たくさんのお客様が世界中から来店します。
菜道で食事をするためだけに自由が丘を訪れる目的来店のお客様がほとんどです。
文化資源や景観と同等に食の魅力は旅行先を選ぶ基準になり得ます。私たちが旅行する時を考えても確かにそうですよね。
難しく考える必要はなく枝豆、冷奴、フライドポテトはヴィーガンです。
ヴィーガン対応のメニューは簡単に作れますし、すでにオンメニューされている中にあることも多いです。正しくルールを理解し既存のメニューの中からまずは探してみる。冷奴の鰹節がのっていたならカイワレに変える。それだけでヴィーガン対応メニューになります。
そのようにして無理のないところから始めてみて発信し、ニーズの高さを感じてみてください。
きっと成果は出ると思います。
私なら、「彩り野菜のバラチラシ(寿司)」を倉敷でやります。ヴィーガンではない人にも魅力的なヴィーガン対応メニュー。ここも重要なポイントです。

Q:「All Welcome」な地域としての倉敷のポテンシャル、地域への期待についてお聞かせください。

観光庁の調査では訪日外国人旅行者の6割強が2回以上のリピーターです。東京、京都、大阪といった主要都市だけではなく地方都市を旅行先として選ぶ割合も高くなります。
大阪、広島といった人気のエリアからもアクセスが良い倉敷のポテンシャルは高いと思います。
飲食業に関してですと多言語対応と食の多様性対応はマストだと考えます。
その上で人と人の繋がりを、より意識すること。
特に欧米豪のお客様には積極的なコミュニケーションを取ることが満足度に繋がっていると日々の営業で感じています。
「All Welcome」な地域の実現。
交通や宿泊などの観光インフラの利便性などインバウンド対策は様々ありますが、食の分野での「All Welcome」を地域で取り組むことで選択肢が増え、倉敷を訪れる外国人観光客の満足度向上に繋がることに期待しています。

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楠本 勝三(くすもと かつみ) 株式会社Funfair「菜道」(さいどう)チーフシェフ

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