江戸時代、宿場として栄え、今もなお往時の姿を残す宿場町は全国津々浦々に散在します。矢掛町は大阪と下関を結ぶ旧山陽道五十一次のうち18番目の宿場町としてにぎわいました。特筆すべきは数ある宿場町の中で唯一、本陣と脇本陣が当時の姿で残り、国の重要文化財の指定を受けていることです。矢掛町を東西に流れる高梁川の支流、小田川に沿うように約800mにわたり古い町並みが続きます。商売人が商売をするために集まり、形成した町筋は、江戸時代の地割りがほぼ残っており、「うなぎの寝床」と呼ばれる間口が狭く奥行が深い伝統的な町家が軒を連ねます。なかでも豪壮な造りで異彩を放っているのが矢掛本陣石井家と矢掛脇本陣髙草家住宅です。他にも、創業100年以上の「石井醤油店」、土蔵を改造した私設美術館「古意庵」、矢掛産御影石の石臼でつくるチョコレートを製造販売する「石挽チョコレートショップ issai」など、新旧さまざまな見どころが点在しています。
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旧矢掛本陣石井家住宅
江戸時代中期以降、代々本陣職を務め、矢掛きっての豪商であった旧家を公開しています。旧山陽道に面する間口は約36m、奥行き約90mで、敷地面積959坪を有し、大名らが使用した「本陣用」の御成門や御座敷、「店舗・居住用」の台所棟や居室棟、「酒造用」の酒蔵や絞り場、麹室など、3エリア全11棟が並びます。梁の墨書から1832(天保3)年の建築と知られ、主要な建物は江戸時代後期にかけて再建。1986(昭和61)年から5年がかりで解体修復し、現在に至ります。随所に建築の粋を凝らしており、国の重要文化財に指定されています。
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やかげ郷土美術館
かつて参勤交代の大名でにぎわった宿場町の一角に建つ、「歴史と文化の薫る町・矢掛」を代表する文化施設です。町木の赤松を使い、太い梁を生かした伝統工法により建てられた美術館棟と鉄筋コンクリートの研修棟で構成。矢掛町出身の書家、田中塊堂と洋画家、佐藤一章、矢掛町ゆかりの芸術家の作品の他、町並み模型などの郷土資料も鑑賞できます。また同美術館のシンボル的存在の水見やぐらは矢掛の町を見渡せる展望スポット。高さ16mから一望する矢掛町の甍の波の美しさは格別です。
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石井醤油店
旧山陽道に面して建つ、間口が狭く、奥行きの深い京都の町家風建物です。1871(明治4)年ごろに高梁市成羽吹屋の町家を解体移築したといわれており、外壁全体を漆喰仕上げとした塗屋造りに虫籠窓や格子などの意匠が目を引きます。奥の醸造所では、1909(明治42)年の醤油店創業時からの火入れ釜や絞り機といった各種設備が見られます。蔵の天井も見どころで、一部に幕末に西洋から伝えられた、三角形を基本とする構造のトラス工法を採用。トラス工法と和式の小屋組みを対比できる造りも特徴です。店舗では天然醸造の醤油を販売しています。
※事前予約により見学を受け付けています。岡山県小田郡矢掛町矢掛3086 TEL.0866-82-0065
本物を目指し、江戸時代の伝統を継承
1976(昭和51)年、大水害に見舞われた矢掛町の活気を取り戻す復興の祭りとして始まった「矢掛の宿場まつり大名行列」。既に40回以上を数え、現在では駅伝、鉄砲隊の演武といったアトラクションも増えました。一方で第1回からのスタイルを継承するのが大名行列です。「本物を目指す」をモットーに行列を編成。京都の時代衣裳の老舗に本物に近い由緒ある着物をそろえてもらい、着付けの方、かつら師の方たちの手を借りて、一大絵巻を正確に再現。すべてにおいて“本物”を目指し、近年はますます精密さを極めています。2017(平成29)年には、北カリフォルニア桜祭り実行委員会の要請を受けて、現地で大名行列を披露しました。
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お話をうかがった
備中西商工会
会長 佐伯 健次郎さん
矢掛屋
INN AND SUITES & あかつきの蔵
江戸時代、宿場町としてにぎわった頃の風情が残る矢掛町のメインストリート、旧山陽道沿いに建つ古民家6棟を再生した宿泊施設。全15室からなる矢掛屋 INN AND SUITES、矢掛土産が多彩にそろうショップギャラリー あかつきの蔵、温浴別館、食事処などが半径200m内に点在します。浴衣姿で町歩きを楽しみ、古民家ならではの非日常を体感できるのが魅力です。
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