下津井節

児島エリア|交流・教育・学習

下津井に生まれ、岡山県を代表する民謡

江戸時代から唄い継がれる民謡

 北前船の中継・取引港として賑わった下津井港。この地で約150年前から唄い継がれてきたのが、「下津井節(しもついぶし)」です。江戸時代中期、物流を動かしたのは、一隻が約15人乗りの北前船でした。西廻り航路の北前船は、米や魚などを積んで、商品を売り買いしながら大阪から北海道を行き来しました。大阪を出帆した船は瀬戸内海を経由し、福岡県の門司港を経て日本海を通って東北、北海道へと進みました。その航路で、船頭は各地で覚えた歌を唄い、寄港地となった土地では、聞き覚えた人々が独自のアレンジをしながら唄っていくうち、土地に定着しました。下津井節はそのひとつです。昭和4年(1929年)、下津井節のレコード化の提案があり、その際、もとの歌の歌詞が整えられました。当時の下津井町役場観光事業担当で、郷土史家の高本恭夫(たかもと・ゆきお)氏を中心にまとめた歌詞が現在、唄われています。
 
♪一. 下津井港はヨ 這入りよて 出よてヨ まともまきよて まぎりよてヨ
    トコハイ トノエ ナノエ ソレソレ
 
♪二. 下津井港にヨ 錨を入れりゃヨ 街の行燈の灯が招くヨ
    トコハイ トノエ ナノエ ソレソレ
 
♪三. 追いて吹こうとヨ 下津井入れヨ ままよ浮名が辰巳風ヨ
    トコハイ トノエ ナノエ ソレソレ」

岡山を代表する民謡として全国に広がる

 江戸時代中期の下津井港には、一夜に北前船83隻が停泊したこともあると伝えられています。また金比羅山(香川県仲多度郡琴平町の金比羅宮)や由加山(倉敷市児島の由加神社本宮、由加山蓮台寺)詣での人々の宿泊地でもあったことから、非常に賑わいのある街でした。宿や料亭、遊郭も軒を連ね、下津井節の元歌には、その賑わいと華やかさが粋に表現されていました。詩人の西条八十は、下津井を訪れた際、「追いて吹こうとヨ 下津井入れヨ ままよ浮名が辰巳風ヨ」の言い回しの秀逸さを評しました。昭和61年(1986年)には下津井節振興会が結成され、「下津井節大会」を開催するようになりました。現在は、「下津井節全国大会」が毎年9月の最終日曜に開催され、岡山県を代表する民謡として、全国の人に唄い継がれています。
(2019年11月)

団体名

下津井節振興会

所在地

倉敷市下津井吹上2丁目1-20

電話番号

080-5233-8623

代表者

山本耕示(事務局)

ポイント

約150年前、北前船の寄港地として賑わった倉敷市下津井に生まれ、唄い継がれてきた岡山県を代表する民謡。
後世に引き継ごうと、年に一度、下津井節全国大会を開催。