
頭上に瀬戸大橋を仰ぐ下津井港から西へと続く昔ながらの町並みは、漆喰壁やなまこ壁、虫かご窓など岡山県の町並み保存地区として有名です。
古くは源平合戦で屋島に本陣を置いた平家の拠点として、江戸時代中期以降には北前船の停泊する港として栄えました。北前船によって運ばれてきたニシン粕を保管していた倉庫が当時のままの姿で保存され、時代と共に歩み続けてきたこのまちの、歴史や民俗を知るための資料館となっています。
下津井の景観は建物だけでなく、自然と目につく多くの井戸。海辺の井戸は塩分が多いものがほとんどですが、下津井は水質に恵まれ港町として発展したのもこの水のおかげと、井戸の近くには水神が祀られ、今でも当時のままの姿で保存されています。
大正以降鉄道や汽船など交通の発展にともない港町としての性質より漁港としての性質を強め、現在では瀬戸内海有数の漁港として、特に下津井沖の速い潮流に育まれたタコは、引き締まった身とぷりぷりとした食感から全国的に有名です。
漁港周辺では、今でも穏やかな潮風に「干しダコ」の揺れるユニークな風景も下津井ならではの景観です。