名探偵金田一耕助が生まれた町・真備町。
彼と彼を生んだ横溝正史氏の足跡を辿ってみませんか?
今回は『金田一耕助の小径』(ウォーキングコース)を紹介します。
清音駅(JR線・井原鉄道)を始点とし、名探偵金田一耕助の生みの親、推理小説家の横溝正史氏が疎開していた岡田地区にかけて、横溝正史氏と金田一耕助にまつわる見所が点在しています。
真備観光の一例として参考にしていただければ幸いです。
疎開先の家から南へ30メートル下ったところに「濃い茶のばあさん」と呼ばれている祠があります。
これには、
『岡田藩家老・千石氏の奥方が東海道の関という宿場で病気になった時、宿の近くの茶屋のばあさんが親切に世話をしてくれ、何処やらへお参りして願掛けをすると霊験があると教えてくれた。女中を代参させて願掛け御祈祷をすると、病気がよくなって無事に帰国することができたので、奥方はそれを恩義として関の地形と同じ川添いの道の四つ角のところへ祠をつくってお祀りした』
という言い伝えがあるそうです。
「八つ墓村」にも登場し、『たたりじゃ~』と叫んだ「濃茶の尼」の名前は、この話をヒントに生まれたと言われています。
昭和20年4月から約3年半、横溝正史が疎開して、家族とともに暮らした家。そしてかの有名な名探偵・金田一耕助が誕生した家でもあります。
横溝正史氏が生涯で最も幸せだったという岡田村時代。この家で「本陣殺人事件」「蝶々殺人事件」や「獄門島」といった傑作が生まれました。
今も当時の面影を残し、こと庭のたたずまいは当時のまま。家の中には横溝の着物や机などがあるほか土間に家族の写真などが展示してあり、一番奥の部屋に入ると突然障子に金田一耕助のシルエットが浮かび上がります。横溝正史だけでなく金田一耕助の門札が掛かっているのもユニークです。
●住所:倉敷市真備町岡田1546
●電話番号:086-698-8558
●開館時間:10時~16時
●休日:月・木・金曜日、年末年始
●料金:無料
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獄門島に出てくる千光寺の名前のモデルとなったお寺。
疎開先を向かって右の細い道をずんずん進み、山手に行くとお墓が見えてきます。上り坂をのぼった所が千光寺です。
濃茶の尼の祠の四つ角を、向かって左の道をまっすぐに行くと大池という大きな池があり、その池のほとりに弁天様を祀った神社があります。岡田藩主が1716年に建立し、その後1979年老朽のため再建されました。
疎開宅の近くで、横溝氏が小説にいき詰まるとよく散歩していたところだそうです。横溝氏は伸びた髪をかきむしりながら、ぶつぶつと独り言をいいながら歩いていたといいます。
「空蝉処女」のモデルとなった場所で、渇水時期には沈んだ古木も現れます。周囲1kmほどの池で、水鳥もたくさん浮かんでいます。
疎開先からもほど近い大池べりにある倉敷市真備ふるさと歴史館。江戸時代、真備町岡田地区付近が岡田藩であったころの古文書などを展示しているほか、横溝正史の関連資料を集めた「横溝正史コーナー」も設けています。
横溝氏の著書や机・文具など遺品を見ることができますので、疎開先と併せて訪れてみてください。もちろん、当時の村の支配や村人の暮らし、産業興しの工夫、災害を防ぐ努力など、先人の足跡にも触れていただける施設です。
●住所:倉敷市真備町岡田610
●電話番号:086-698-8433
●開館:10:00~16:00
●休業日:月、木、金曜日、祝日、年末年始
●料金:無料
井原鉄道のこの駅は、金田一耕助の小径のゴール地点でもあります。
井原鉄道の高架には金田一耕助の壁画が描かれており、これは平成15年に倉敷芸術科学大学の学生が描いたそうです。そのほか、駅のプラットフォームの駅名表示板や、駅前の自動販売機の前面にも金田一のイラストがありますので、金田一ファンの皆様は記念写真をお忘れなく。
『金田一耕助の小径』、いかがでしたか。
2~3時間ほどのコースですが、金田一耕助・横溝正史ファンはもちろん、ウォーキング好きな方や真備町が初めてという方におすすめだと思います。
イベントの時にはもちろん楽しめますが、平時でも色々な楽しみ方がある真備町にぜひお越し下さい。