倉敷の野鳥
これまで気にもとめなかった野鳥たちがこんなにも身近にいて
せっせと生活している
ある日、そんな野鳥たちの世界に気づきました。
それからというもの
野鳥を見に出かけ
知らなかった野鳥を知り、名前を知り
同時に自然の深さを知り
次第に喜びがふくらんできました。
バードウオッチングをはじめた人が野鳥に初めて出会ったころの心境を、こんな風に話してくれました。
多くの野鳥ファンもおそらくバードウオッチングが面白くなったわけをそんな風に思っていらっしゃるのではないでしょうか。
今、バードウオッチングを楽しむ人たちが増えてきました。
バードウオッチングが自然の野山を相手にするだけに、特に中高年の間では健康づくりのためにもバードウオッチングを始めてみたいという人たちが多いと聞いています。
野鳥の姿や鳴き声を観察し、自然に親しむ、そんなバードウオッチングの楽しみのために、倉敷市内の手軽な探鳥地を紹介するとともに、バードウオッチングの入り方や楽しみ方など案内していきます。
倉敷市立自然史博物館、動物担当の学芸員の江田伸司さんに取材しました。
バードウオッチングは実は自宅の庭でも近くの公園でもどこでもできますが、これからバードウオッチングをはじめようという人は野鳥の会などが主催している探鳥会などに参加してみるのもいいことです。
野鳥をよく知る人たちといっしょに、野鳥が多く見られるところにウオッチングに出かけていきます。
そのような野山や田んぼ、川原や池など特定のウオッチングスポットを探鳥地といいます。
倉敷市では現在市内に12ヶ所の探鳥コースを設けています。
今回紹介する探鳥地は、一部重なるところもありますが、何よりも倉敷らしい特徴のある探鳥地を選び、コースも簡便で分かりやすい範囲としました。
由加山は蓮台寺や由加神社を中心に常緑や落葉広葉樹、それに竹林などいろんな樹林があって、倉敷市内でもっとも豊か自然が残る格好の探鳥地だ。
南東の山の斜面を回る長距離コースもあるが、神社の境内でウオッチングしたあと、神社裏手の<川柳・俳句の径>からシイの林を抜けて、小高い桜園地に至る道筋が初心者向きだ。
エナガやヤマガラなどの留鳥をはじめ野鳥の種類が多い。
倉敷市児島由加山2852
086-477-3001
![]() ヤマガラ |
![]() オオルリ(夏) |
![]() トラツグミ(冬) |
写真提供 筒井義博氏
倉敷美観地区の背後に見える市街地の小山で、倉敷市民の氏神阿智神社がある。 高木がうっそうと茂るなか竹林のほか桜などもあって豊かな樹林となっている。
本町の神社正面から車道を登っていくのと、えびす商店街から登るコースなどがあるが、いずれも神社境内とその周囲を巡ってのウオッチングとなる。
春、秋の渡りのシーズンには<オオルリ>や<キビタキ>など希少種が見られることもあり、美観地区の観光客でも立ち寄れる探鳥地だ。
倉敷市本町12
鶴形山公園管理事務所 086-421-5986
![]() メジロ |
![]() コゲラ |
![]() ツバメ(夏) |
写真提供 筒井義博氏
倉敷市藤戸町の藤戸寺の南側の山をまわるコース。
民家も近く、野菜や果樹などの畑がある典型的な里山で、樹木は竹林の混じった低木の雑木林だ。
里山らしい野鳥がみられるほか、コースには大小7つも池があるのが特長で、倉敷の鳥に選定されたカワセミを比較的見ることができます。
また、冬季になると南端にある<二つ池下池>は多くのカモを見ることがでます。
倉敷市藤戸町藤戸57
086-428-1129
![]() シジュウカラ |
![]() キジバト |
![]() ルリビタキ(冬) |
写真提供 筒井義博氏
倉敷市玉島の市街地の中にある遊水池。
最近は周囲の宅地化によって集ってくる野鳥の数が減少しているが、カモ類など水鳥が町中で見られる貴重な探鳥地だ。
カモ類のウオッチングは11月から翌年の2月ぐらいが適している。
池の東岸、溜川公園にできた野鳥観察小屋からゆっくり観察することもできる。 ワシタカ類の<ミサゴ>が池のフナやコイをダイビングキャッチするシーンがまぢかに見られるのも溜川ならではのもの。
倉敷市玉島溜川湖畔
![]() ミサゴ |
![]() カワセミ |
![]() コガモ(冬) |
写真提供 筒井義博氏
良寛さんで知られる倉敷市玉島柏島の円通寺を中心にした探鳥地。
広くまわれば里見川沿いなどを巡るコースもあるが、まずは円通寺の南に広がるなだらかな斜面と円通寺境内を歩いてみる。
南斜面では<ホオジロ>など明るくひらけたところを好む野鳥が見られる。 境内と裏手の林では、冬には暗い藪などを好む<ルリビタキ>などに出会えるかもしれない。
明暗いずれも体験できる静かな探鳥地だ。
倉敷市玉島柏島451
086-426-3495(公園緑地課)
![]() ホオジロ |
![]() イカル |
![]() ジョウビタキ(冬) |
写真提供 筒井義博氏
それでは野に山にとウオッチングに出かけてみましょう。
野鳥の会などの同好会の人たちに加わって行動するといいです。
こうした同好会にはバードウオッチングのリーダーの方がいて、いろいろ教えてもらえます。
もし、一人で始める場合には近くの公園などよく知った場所に出かけましょう。
近くで、いつでも出かけられる自分なりの探鳥スポットをつくっておくと上達が早いでしょう。
バードウオッチングはハイキングを楽しむ気軽な気持ちでいいのですが、いざ出発に際しての準備はちゃんとしていきましょう。
探鳥地にやってきました。野鳥の鳴き声がします。木の枝を渡る野鳥がいます。
「あの鳥はなんという鳥?」名前を知りたいと思う気持ちはよく分かりますが、はじめは名前が分からなくても気にしないほうがいいです。
野鳥のしぐさ、可愛さ、鳴き方などを見て聞いて楽しむ気持ちが大切です。
つぎの段階になりますと、仲間と話をするときや、よく知った人に野鳥の名前を聞くときなどに、自分が見た野鳥をどう説明するかが大切になってきます。
その際、助けになるのが、野鳥を目撃した【1.時期はいつか】【2.大きさはどのくらいか】それに【3.環境】と【4.体型】などの特徴です。
野鳥によって生活する場所がそれぞれ違います。
見た場所が街中か田畑か、林か草むらか、川か池かなどによって見られる野鳥が絞りこまれます。
野鳥を見るための双眼鏡ですが、高価なものですから間違いない選び方をしたいものです。
探鳥会などでリーダーや参加者の双眼鏡を覗かせてもらうなどして自分にふさわしいものを求めるといいでしょう。
以上、野鳥の観察について述べてきましたが、いざ、目撃した野鳥を図鑑で確認して名前を知ることはなかなか簡単ではありません。
みんな同じように見えるものです。
大切なのは慣れること、何度も繰りかえすことです。
これまで一度だけでも確認された野鳥を含めると岡山県内でおよそ350種、倉敷市内でおよそ250種が記録されています。
少しでも分かり始めれば普段出会うことの多い身近な野鳥をひととおり覚えるにはそんなに時間はかからないでしょう。
*さらにくわしく知りたい方は倉敷市立自然史博物館があります。 HP.http://www2.city.kurashiki.okayama.jp/musnat/animal/animalwatching.html
*野鳥の写真は筒井義博氏から提供していただきました。
最後に倉敷市で活躍している野鳥を見る会を案内しましょう。
それぞれ季節ごとに探鳥会を開いています。
URL:http://www.city.kurashiki.okayama.jp/dd.aspx?menuid=5704