連島は、奈良時代の頃には都羅之郷(つらのさと)と称されていたともいわれ、江戸時代中期までは瀬戸内に浮かぶ島でした。山のふもとから縦横に広がる細道沿いは都羅の小径(つらのこみち)とされ、平安時代に創建された寺社が多く、当時の繁栄が窺われます。陸続きとなって以降の史跡なども点在し趣深い町並みが続く連島で、ウォーキングやサイクリングを楽しみながらスローな休日を過ごしませんか。
自転車を借りて最寄り駅まで
水島臨海鉄道で移動します。
昔ながらの町並みが残る連島エリアを気ままに巡るには、徒歩または自転車がおすすめです。JR倉敷駅に隣接する、水島臨海鉄道の倉敷市駅 駅舎内にある健彩館で折りたたみ自転車を貸し出しています。ロッカーや各種レンタル品もあるので、手ぶらでも大丈夫。準備が出来たら、折りたたみ自転車を輪行バッグに入れて、倉敷市駅ホームへ。浦田駅で下車し、最初の訪問地を目指しましょう。
島崎藤村後の第一人者で、新体詩を発展させた連島の偉人。
1877(明治10)年、現在の連島町連島に生まれた、地元偉人の筆頭に挙げられる薄田泣菫の生家を自由に見学できます。江戸時代末期から明治時代初期に建てられたとされる生家での暮らしぶりは、随筆作品の中でも綴られており、梅や樫などが枝を広げる庭のあちこちに立つ案内板では、泣菫が作品に描写したと思われる文章の該当箇所を紹介。他にも、泣菫の代表作品を収めた詩集や自筆の書、愛用の机などとともに各種資料が並び、泣菫紹介ビデオも見ることができます。当時交流のあった芥川龍之介や与謝野晶子、森鴎外ら文人からの書簡も見どころです。
DATA
住所/倉敷市連島町連島1284
TEL/086-446-4830
開館時間/9:00 〜16:30
定休日/月曜日 年末年始
料金/無料
十字架をデフォルメしたような
灯籠が見られます。
江戸時代に築かれた細道沿いに、ひっそりとたたずむ石灯籠があります。竿(もっとも長い柱の部分)が十字の形をしていることからキリシタン灯籠と呼ばれています。
連島を東西に走る旧街道に、ユニークな名前のバス停があります。その一つは「ヤットコ」です。江戸時代の連島界隈には干拓により高い堤防が築かれていました。工事に携わった人たちが荷物を背負い、急な坂を上った所で「やっとこせ」ともらした言葉が変化してこの名が生まれたといわれています。「ドンドン」は川の流れる音から付いた名前だそうです。
開放的な造りの拝殿が
親しみやすさを感じさせます。
「八幡様」、「矢上がり八幡宮」の愛称で親しまれ、連島一円の氏神様といわれる古社。貞観年間(859~877)に児島曽原の清田八幡宮を勧請したと伝わります。矢柄(やがら)の地名は源平屋島の戦いで那須与一が放った矢が流れ着いたことが由来といわれ、その矢は神社に奉納され、現存しています。車道に面した鳥居をくぐり、長い石段を上がった先に拝殿、その奥に本殿が鎮座。矢柄公園に隣接する境内は木立に囲まれ、清々しい雰囲気が漂います。
DATA
住所/倉敷市連島町矢柄6129
岡山県屈指の古建築、
仁王門が風格を漂わせます。
859(貞観元)年、聖宝理源大師が開き、江戸時代中期の悉曇学者で書家の寂厳和尚が寺門の興隆に尽くしたと伝わります。寺域は広く、境内には本殿や観音像、鐘楼、顕彰碑などが並びます。中でも室町時代に建立されたとされる仁王門は、市の重要文化財に指定されており、2016(平成28)年の保存修理で蘇った鮮やかな丹塗りは必見です。毎年、旧暦の3月4日に「観音さま春の大祭」、10月下旬に「寂厳和尚遺墨展」が行われており、普段は公開されていない貴重な資料や小堀遠州による枯山水の庭園などを見ることができます。
DATA
住所/倉敷市連島町矢柄5663
地元出身の詩人にちなんだオリジナル商品を製造・販売。鉛筆と同じ六角形で、硬めの焼き皮でこしあんをくるみ、原稿用紙で包んだ泣菫饅頭は甘さ控えめです。泣菫もなか、泣菫煎餅もあります。
DATA
住所/ 岡山県倉敷市連島中央5丁目13-36
TEL/ 086-444-8432
営業時間/8:00〜18:30
定休日/火曜日
厄除や安全祈願で多くの会社企業等
から広く崇敬される
山裾に延びる細道から続く127段の石段を上がった先にある、西之浦の氏神様で、867(貞観9)年、備後国鞆津祇園宮から連島へ勧請し「薬神宮」と称したことが始まりといわれています。1793(寛政5)年に現在地に奉遷、1874(明治7)年に「厄神社」と改称されました。境内の一角には、郷土の詩人、薄田泣菫直筆の原稿から版を採った備前焼が御影石にはめ込まれた詩碑があり、左手前の筆塚には泣菫愛用の筆が納められています。
DATA
住所/連島町西之浦3815
桜の名所としても親しまれている、業務安全や交通安全、子宝、心願成就等で崇敬される神社。
年代は不詳ですが、海上交通の要所であった連島、水島近海の海上安全のために創建され、火難・盗難除けに御利益があるといわれています。広い境内を持ち、本殿へは287の石段と左右に巡らされた長い回廊を経て辿り着けます。一帯は箆取公園として整備されており、約300本の桜や楓、ツツジ、紫陽花など四季折々の花木が彩ります。展望スポットとしても有名で、標高約70mの絵馬殿からの眺めは水島の市街地や水島コンビナートが一望でき、美しい夜景も必見です。なお、手水舎は回廊を左へ進むとあります。