遊美工房で和菓子と陶芸のコラボ展
玉島の和菓子職人亀山健治さんと、大島の陶芸家岡島光則さんの二人が、それぞれの作品を組み合わせた「和菓子×焼き物」展が、5月18から26日まで玉島中央町の遊美工房で開かれました。
遊美工房の仲介、企画によりお二人のコラボが実現しました。
亀山さんがこれまでに創作した和菓子のパネル。一面に散りばめられた宝石のようです。
これは本物の和菓子。紐を付けてマスコットにしたい可愛らしさです。
合計12点の展示の中から数点を紹介いたします。
<創作問答 その1>
亀山さんが作ったお菓子に合わせて、岡島さんが器を製作されました。
亀山~ とにかく楽しい気持ちをお菓子にしてみたくて、暑さも寒さも菓子作りに大切な要素です。
岡島~ ワニが浮き輪を持って楽しそう。子どもが行水するプールを思い出し、練り込みの美しい文様を付けたいと思いました。
銘:菓子 「やさしい魔女」/ 器 「小人の家」
器はなんと椅子です。魔女の手のひらにリンゴ?ちょっとドキッ!とします。
<創作問答 その2>
岡島さんが焼いた器に合わせて、亀山さんがお菓子を製作されました。
尾形光琳の「紅白梅図屏風」の水流をイメージして制作された器とそれに合わせた練り切り
銘:器「紅梅」/ 菓子「春雪を翫ぶ(もてあそぶ)」
銘:器「市松の庭」/ 菓子「スパイラル」
岡島~ 今回の展覧会のきっかけとなった老舗和菓子屋の多い京都に、郷土出身の作庭家重森三玲作の庭があります。凸部分は濃緑の苔と思って、禅寺の風情を楽しんでください。
亀山~ 器を見た瞬間、そのシャープな造形にこの菓子を思いつきました。このまま、さらに立体として立ち上げたいと。
銘:「白露」
蓮の葉の器の上に、青梅の甘露煮にカルピス味の餡を吉野の葛で包みました。
<創作問答 その3>
岡島さんが和菓子をデザインしました。
銘:「風の香」 ひょうたんをイメージした器、干菓子の花と練り切りの扇子
亀山~ 普通の菓子ではありえない、いくつものカタチのコンストラクションでひとときの涼しさを作ってみました。器の方も、これまで拝見した岡島さんの作品に、「どんなものでも作って下さると確信して、大胆かつ風変わりなカタチをリクエストしてみました。源氏物語の夕顔を瓢箪におきかえて」
岡島~ DM作成のために最初に提示された器。
いきなり、どこからこんな発想が出てくるのか!亀山さんの頭の中を覗いてみたくなりました。これからどうなることか・・・。
銘:「あんこ型」
丸々としたお相撲さんを「あんこ型」と呼ぶそうです。
亀山さんのお相撲さんに合わせて、岡島さんは生まれて初めて「土俵」を焼いたそうです。
来場者に気に入った作品を選んでもらおうと投票箱が設けられていました。果たして、どのコラボ作品が一位だったのでしょうか!!
右が陶芸作家の岡島さん、左が和菓子職人の亀山さん
展示に添えられたお二人のコメントを読んでいると、互いの発想に感動し刺激を受けている様子が伝わってきます。
協力ではなく対決、コラボとは自らとそして相手をも引き立て合うようで、それでいて挑戦的な作業。そして、まさかと思えるような奇想天外な世界を作り出してしまいました。
お菓子にも器にも作品に辿り着くまでのいきさつがあり、そのテーマ、背景や季節感、ストーリー性こそが作品に奥行を持たせ、単なるオブジェではなく生き生きと見る者の心を打つのですね。
とことんこだわり追求した、和菓子と陶芸のコラボ展、お二人の作品はとても新鮮で、斬新で、まさに芸術そのものでした。
最終土日の二日間は、お茶会が行われました。
12組から、希望のセットを予約で申込み、実際に味わう事もできました。
こんな夢のある展示とお茶会、また玉島で開催されるといいですね。