西阿知駅周辺~歴史散策~
倉敷美観地区のある倉敷駅から、西へ一つ目の駅(JR山陽本線・約4分)
西阿知駅周辺について紹介します。
昔は、稲作やい草の栽培・製造が盛んだった地域、西阿知は、
花莚製品で有名な萩原工業創業の地であり、明治30年創業の今吉商店は今も尚あります。
マスキングテープで有名なカモ井加工紙、結婚式のキャンドルのトップシェアを誇る
ペガサスキャンドルが所在しています。
まず、西阿知駅北口から散策です。
JR西阿知駅北口 今吉商店、大山名人の生家がある通り
西阿知駅から北へ160メートル直進すると、西阿知公民館が見えてきます。
公民館内に、「西阿知民俗資料室」があります。
西阿知出身の偉人紹介パネル、い草産業の歴史のパネル、岡式織機が展示されています。
岡式織機は、西阿知に在住されていた岡茂一郎氏が開発した織機です。
公民館では、毎年秋の文化展で、実際に織機を稼働させていますが、
本年はコロナ禍なので文化展も中止のようです。
しかし、資料室にあるパソコンで、織機の動いている様子が見られます。
「ガッチャン、ガッチャン」という音を立てながら織り込んでいく過程を
ぜひ一度ご覧ください。
西阿知公民館外観 岡式織機
次に、西阿知公民館から西(西阿知小学校方面)へ350メートルの所、
「大野昭和斎記念資料館」があります。
木に精通している昭和斎氏のこだわりの邸宅です。一部作品やゆかりの品が展示されています。
木工芸の人間国宝・大野昭和斎は、この地で技術を磨き、努力を重ね創作活動をされたのです。
案内の方がいらっしゃり、丁寧に説明をしてくださいました。
大野昭和斎記念資料館外観 愛用の品
黒柿の美しい床の間と直筆の書と 陶芸欄間は織機の縦の糸を意味する
また、将棋棋士の大山康晴十五世名人は、西阿知に生まれ、
大阪に入門するまでこの地で育ちました。
大山名人の生家がある通りは、昭和の初め、住民たちが打ち水をして縁側や一畳台で、
将棋を指していたそうです。
大山名人もそのような中で育ったので、将棋が強くなったのかも知れませんね。
大山名人については、倉敷駅から南へ1.2キロにある倉敷市芸文館内に
「大山名人記念館」があります。
倉敷美観地区からもほど近いですので、美観地区散策の際には、ぜひお立ち寄りください。
西阿知駅南側へ。目指すは、西阿知駅から南東へ1キロの所にある実際寺です。
西阿知駅にある地下道(自動車通行不可)を通り、行くことができます。
西阿知駅前の農協の前の道を東へ進み、西紺屋踏切を渡って、
突き当りを左折したあたりに実際寺があります。
実際寺は、二松學舎大学の創設者であり漢学者の、
三島中洲ゆかりの寺院として知られています。
三島中洲は、備中松山藩の藩政改革で知られる山田方谷の弟子でもあります。
三島家の墓地内に自分の歯を埋めて建立した「生歯の碑」があります。
碑には、「父也客死 葬在東京 吾百歳後 願侍狐蛍 歯乎歯乎 亦吾片形 送汝桑梓 永侍母兄」と彫られています。
中洲先生が先立った母や兄といつまでもいたいという思いから、
母と兄の墓石の傍らに建立されたそうです。
実際寺 生歯の碑銘
愛される三島中洲先生のゆるキャラ
実際寺から南西(倉敷第一中学校運動場方面)へ600メートルの所、
三島中洲の生家跡に、「誕生地碑」があります。
現在の倉敷市中島西向町(倉敷市中島576)に生まれ、生家は今日ありませんが、
二松學舎大学による誕生地碑が建立されています。
碑の両脇には、二本の松が植えられています。
住宅地のなかですので、分かりにくいかもしれませんが、
ゴミステーションに案内板が貼ってあります。
生誕地碑
今回は、暑さと時間の関係で行けませんでしたが、西阿知駅から東へ1.2キロに、
国指定重要文化財・三重塔のある遍照院がありますので、
次回はぜひお参りしてみようと思います。
西阿知駅周辺の偉人ゆかりの地を訪れ、それぞれの生涯の一端を知り、
熱く高い精神を感じることができ、気持ちも新たになりました。
コロナ禍の今、地元の伝統や歴史、偉人たちの功績をゆっくり歩いて
体感してみてはいかがでしょうか。
倉敷市西阿知公民館
http://www.kurashiki-oky.ed.jp/nishiachi-ph/
大野昭和斎記念資料館
https://www.city.kurashiki.okayama.jp/9532.htm
大山名人記念館
実際寺
http://jissaiji.web.fc2.com/index.html