玉島茶室巡りvol.2 「玉島伝来の茶室と茶道具展」と、遊美工房でお茶会
6月12日から14日まで、玉島中央町の遊美工房で、第二回目となる「玉島茶室巡り」の展示会とお茶会が開かれました。
玉島の市民グループ「玉島茶室群研究会」は、全盛期の玉島に400もあった茶室から現在も残る約40の茶室を調査し後世に伝えていこうと2012年に発足しました。
今回は、3月に建て替えのため取り壊された高運寺の茶室「圓庵」を中心に、これまでに調査した茶室の写真と茶道具・茶会記が展示されました。
玉島の茶の湯は、1780年、高運寺の建立を機に藪内流が広がっていきました。
高運寺の茶室「圓庵」は、当時の住職梅見法師の指導で本堂内陣の北隣に造り込まれました。茶室は全部で6室もあり、藪内流の作法を習得する練習用の茶室もあったそうです。
今年3月、高運寺の建て替えのため、「圓庵」が解体されました。玉島出身の池田俊彦先生(福井工業大学准教授)の調査資料から、実測して起こした図面や解体前の写真パネル、また実物同様に作られた茶室の模型が展示されました。
模型を写真に撮ってみました。模型の左斜めから、右のパネル写真を庭の風景を覗くように、カメラのシャッターを押すと・・・
また、高運寺が所有している茶会記の古文書が展示されました。
安政6年、薮内家の竹鳳宗匠が玉島を訪れた時の茶会の茶事控です。高運寺の茶室「松風舎」に於いて、席主は高運寺住職の塩田耕運がつとめました。
江戸時代の懐石料理の献立などの記録も残っており、大変興味深いものです。
玉島の商人、地主を中心とした茶人が盛んに茶の湯を楽しんでいた様子がわかります。
「圓庵」こそが玉島の茶文化のすべての出発点・拠点であったことが実証される貴重な展示となりました。
「沙羅双樹が、今朝開きました。」と安原さん。
14日10時から遊美工房の二階で、記念茶会が開かれました。
玉島にお茶に親しまれる方がこんなにいらっしゃるのだと驚くほど、大盛況のお茶会でした。その昔、玉島を訪れた商人や文人もまた、こんな風にお茶を楽しまれたのでしょうか。
「高運寺」は、良寛修行の地「円通寺」に近い玉島阿賀崎にあります。
玉島茶室群研究会の調査は、これからまだまだ続いていきます。
「玉島の住民の茶文化への意識や関心が高まることで、地域にある茶室の保存や活用に結び付けていくことができたら嬉しいです。」と、安原さんはいつも話しておられます。
目の前に羽黒神社、このあたり玉島の中心部は、江戸時代、北前船や高瀬舟が行き交う備中一の商業港として栄えた港町でした。廻船問屋の面影を残す玉島を、こんな形で守っていけたら本当に素晴らしいことですね。
【お問い合わせ】
玉島茶室群研究会
090‐5378‐6675(遊美工房 安原)
遊美工房 (〒713-8122 倉敷市玉島中央町1-6-21)