牧野文幸展
倉敷美観地区にある加計美術館で倉敷市在住の口で描く芸術家牧野文幸さんの個展が開かれています。
牧野さんは高校生の頃、水泳部の飛び込み練習中に頭部を強打し、頚椎を損傷しました。
そのため首から下が麻痺し、ほとんど身体が動かないようになってしまいました。
そしてリハビリの担当の先生の勧めにより85年から油絵を始めました。
手が思うように動かないのにどのようにして絵を描いているのでしょうか。
何と驚くことに美術館に飾られているこれらの作品は全て口で描かれているのです。
美術館内で牧野さんが作品を制作する様子を映像化したものが公開されています。
牧野さんの絵を描く様子を映像で見られます。
口に筆を加えて細かい部分を丁寧に描き、次第に作品が出来上がっていく映像に目を奪われました。
個展で飾られている作品は動物を描いたものが多くあります。
7月13日、会場にいらっしゃったので牧野さんになぜ動物を描かれているのか伺いました。
まず一つ目の理由が牧野さんが所属されている「口と足で描く芸術家協会」から描いて欲しい題材が依頼され、それが動物が多いからということです。
それらは、例えばカレンダーの干支の絵として使われます。
様々なものを依頼されるので場合によってはタッチの仕方を変えているそうです。
作品を見ていると確かに柔らかく優しい感じの動物の作品がある一方、色鮮やかで元気な感じの花火の作品もあり、同じ人が描いたと言われなければ分からないほどです。
優しい筆使いで描かれた犬
他の理由としては、動物からは躍動感やいのちを感じるため好んで描かれるということです。
「怪我の影響でいつでも絵が描けるわけではない。体調と相談しながら調子がいい時に1日だいたい3時間くらいかけて絵を描いてるかな。」と牧野さん。
しかしお話をして下さるその顔は朗らかな笑顔でそのような苦労をしてるとは感じさせないほどきらきらと輝いていました。
美術館には特に馬の絵が多く飾られています。
それらの馬は軽やかに走っており、躍動感溢れるものです。
牧野さんは体調が良ければ主に土日、加計美術館に訪れるそうで運が良ければ直接お話を伺うことができるかもしれません。
また7月20日(土) 14:00~15:00にはご本人のトークショーが加計美術館で開かれます。
この機会に牧野さんの美しい世界に浸ってみてはいかがでしょうか。
牧野文幸展 生きるよろこび
会期:7月28日まで
入場料:無料
時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
月曜日休館
お問合せ先
加計美術館 086-427-7530