第5回高校生現代アートビエンナーレ展
倉敷美観地区の倉敷川と平行して走っています一本の通りがあります。
地元では「レンガ通り」と呼んでいます。
備前焼、古布販売、居酒屋、和風小物、讃岐うどん屋、酒屋等が立ち並び、倉敷の風情を色濃く残す町家の町並みが、この「レンガ通り」です。
「レンガ通り」の名前の由来は、アイビースクエアーのレンガの壁面に沿って出来た通りに因んで、名付けられたものと思われます。
その一角に全国の高校生からの400点あまりの油絵・日本画・アクリル画・版画・写真・CG等の作品が寄せられ、その入選作品がレンガ造りの由緒ある大原美術館児島虎次郎記念館に展示され、入館料無料で公開されています。
倉敷は、大原美術館に代表される芸術文化の街としても有名です。
多感な若者が形式に囚われず、日常生活の中で経験と自由な発想のもとに創造した作品は、新鮮な空間を提供しています。
このビエンナーレ展は毎年開催されており、美術を志す高校生の目標となっていて、ある意味で登竜門となっています。
今回大賞・大原美術館賞を受賞した鎌田悠希君の「進化の真価」(アクリル画)は、蛹から孵化した蝶の姿をマイクロチップと電子回路でデフォルメして描き、「荒廃した自然界を憂う」メッツセージ性のある作品です。
その他の作品も発想と感性、そして技術力に感心させられます。
審査員の倉敷市美術館の岸野裕人館長は、当展覧会の図録に寄稿しています。
「審査をしながら、出品した高校生の皆さんが、様々な影響のもとで制作していることを今更ながら実感した。無論それは美術的なものと限らない。
そして多くの作品中に自分が消えずに存在し得ていることに驚きもした。
模倣や引用は後から来たものの特権であるが、自分を見失い飲み込まれてしまう危険性を併せ持っている。ヒントになるものは、率直に躊躇なく取り入れ消化する。
なお且つ可能性を持った未来を予感できる時代、始まりのころとでも言おうか、そうした時期があるのだと思う。大切にしてほしい。」
最期にこの展覧会を見終わった後に感じることを岸野館長は「審査を終えて未だ日も浅いが、審査会場の風景は既に懐かしいほど遠くなってしまった。だだ、作品だけはまだ審査会場にあってざわめいているような気がしている。」
少年の日の思い出を再現している懐かしさが、全国高校生現代アートビエンナーレの会場を作品が包んでいます。
イベント情報
第5回全国高校現代アートビエンナーレ展開催(2009年12月5日~12月23日)
9時~17時(月曜休館:入館無料)、会場、大原美術館児島虎次郎記念館
岡山県倉敷市本町7-1倉敷美観地区、倉敷アイビースクエアー内、電話086-426-1010