風情ある くらしき川舟流し
伝統的な建造物が残る町として全国に名高い倉敷美観地区。
その町並みを流れる倉敷川で行われている<くらしき川舟流し>は、風情ある遊びとして美観地区観光になくてはならないものになりました。
4月の晴れた日<くらしき川舟流し>を体験してきました。
ゆったりとした時間が流れる
客をのせた川舟が倉敷川をゆっくりゆっくり、波だちもおだやかに進みますと川面をわたる涼風が頬をなでていきます。
はっぴ姿に菅笠(すげがさ)の船頭さんが美観地区の白壁のいわれを静かに話す声が聞こえ、その合間に掉(さお)さす「ちゃぽ、ちゃぽ」という音。実にゆったりとした気分になれます。
江戸の昔の川舟
倉敷川に<川舟流し>が始まったのは平成18年4月。
もともと江戸時代の美観地区は、倉敷川を利用した近隣の産物の集配地として栄えたところで、倉敷川には川舟が行き交い、産物の運送に大活躍しました。
その川舟を現代に再現し、川面から白壁の町並みをながめてもらおうというわけです。
いわば、江戸時代にタイムスリップした川舟体験ですね。
天領丸に乗ってみたい
<川舟流し>は<天領丸>という2隻の川舟を使い、観光客を乗せて倉敷川を流すもので、船頭さんは漁業などで川舟の経験のあるベテランばかり。
コースは倉敷川の中橋のたもとを出発して、北は大原美術館前の今橋と南の高砂橋の間を一巡りするものです。
この間、およそ600m 20分の船旅です。
<川舟流し>は、なんといっても川面という低い目線から町並みを見る、言ってみれば普段は味わえない非日常の体験が面白いのでしょう。
若い人から「美観地区にいったら川舟に乗ってみたい」という声をよく聞くようになりました。
瀬戸の花嫁
<川舟流し>は寒い季節をのぞく3月から11月まで行われますが、もっともいい季節は、倉敷川の柳の緑がきれいになる5月です。
ゴールデンウイークには、毎年恒例の<瀬戸の花嫁川舟流し>のイベントが行われ、白無垢姿の花嫁が、長持ち唄のうたい手と尺八の奏者とともに川舟で下っていきます。
この懐かしくロマンティックな光景を一目見ようと、川沿いには何重もの人垣ができてにぎわいます。
花嫁にはなれなくても、一度は乗ってみたい、そんな気持ちになる倉敷美観地区の<くらしき川舟流し>です。